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大学入学共通テスト国語・数学記述式見送り

こんにちは。
個別教育リバースです。

英語民間試験活用に続き、大学入試改革の柱であった国語・数学記述式が見送りとなりました。国語の記述式批判が大半であり、数学の記述式についてはあまり報道されていません。私は、英語民間試験活用(特に、スピーキング導入)には大反対でしたが、国語・数学の記述式問題導入には賛成でした。理由としては、マークシート式入試問題を外注している、あるいはセンター試験で代用している私立大学受験生でも、強制的に記述試験対策をしないといけないからです。日本には770以上の大学があり、その8割が私立大学です。その多くでマークシート方式が採用されています。マスコミの報道で、記述式は2次試験で行うのから実施しなくてもいいのではないか、という意見が散見されました。しかし、それは大学全体の1~2割の国公立大学のみに焦点を絞った話だったのです。一部難関私立大学を除くほとんどの私立大学では、マークシート方式が採用されているため、記述力を測れるようにはなっていません。また、マークシート方式では、受験生の本当の学力を測ることは出来ません。マークシート方式の弊害については、数学者の芳沢光雄氏も著書(『論理的に考え、書く力』光文社新書、2013年、第2章)で指摘しています。

採点体制の不備など技術的な問題点が噴出しました。私もまさかここまでいい加減な採点方法・体制とは思ってもみませんでした。
しかし、本気になって受験生の思考力を問う入試にすることには意味があると思います。また、以前指摘したように、英語ライティング試験導入も必要と思います。民間試験でスピーキング試験を導入しなくても、ライティングだけで完璧に英語力が測れるからです。もちろん、ライティング試験の採点にネイティブチェックを入れるべきかどうかの問題も発生します。いろいろお金も絡む問題ですが、未来への投資として、国にはしっかりとした採点体制で記述式導入に取り組んでいただきたいと願います。

過去問は最高の入試予想問題

こんにちは。
個別教育リバースです。

孫子の兵法には、次の有名な言葉があります。
「彼を知り己を知れば、百戦してあやうからず」(敵の実情を知り、また自軍の実態を知る。そうすれば、百たび戦っても危ういことはない。)(湯浅 邦弘『孫子・三十六計』角川ソフィア文庫、2008年、P61)
ここでは、敵=志望大学 自軍の実態=自分の学力、と考えてみましょう。
志望大学を知るためには、過去問研究が欠かせません。
自分の学力を知るには、模擬試験結果の詳細な分析が欠かせません。

模試は単にやり直すだけではなく、成績表を精査することで自分の弱点を知る強力な武器になります。受験生の方は、判定に一喜一憂するのではなく、ぜひ成績表をよく読み込んでください。自分には何が欠けており、何をしなければいけないかが分かります。

また、生徒からいつ過去問題集(赤本)をやればいいですか?という質問をよくされます。
これには、2つの考え方があります。1つは、4月くらいの段階で一度解いてみる。そして、ショックを受けて、入試までにしないといけないことを逆算して計画する。
もう1つは、ひたすら基礎基本の習得を重視し、過去問演習は12月に入ってから行う。
私の考えは後者です。ある程度基礎学力を身に付けてから解く方が効果的だと考えています。
あらゆる受験指導のプロ中のプロと言われる小林 公夫氏は、試験委員が変わった時に起こる「問題の周期を知ること」が過去問研究において重要と述べています。続けて、過去問研究の具体的やり方として以下のように述べています。
「一0年分の過去問を用意する、目指す大学の教授の研究対象を調べる、インターネットや図書館など、情報を入手する方法はいろいろあります。目指す大学に学部の先輩がいれば、教養課程で使用している教科書を拝借し、分析させてもらうのも一つの方法です。
入手した情報を駆使し、過去の情報と照らし合わせて分析すること、そこから次の展開を推測すること。この科学的・効率的方法をぜひとも実践し、難関を勝ち抜いていってください。」(小林 公夫『東大生・医者・弁護士になれる人の思考法』ちくまプリマ―新書、2010年、P123)

小林氏によれば、特に「目指す大学の教授の研究対象を調べる」のが効果的なのは、数学と理科(物理・化学・生物)とのことです。
私は、古文と社会(日本史・世界史・政経)も効果的だと思います。大学のHPなどで教員の専攻・研究分野を探す際、過去問と照らし合わせやすいからです。ぜひ受験生のみなさんは実践してみてください。

最強のインフルエンザ対策について

こんにちは。
個別教育リバースです。

12月になりましたので、本日はインフルエンザ対策について書きます。前に見たTV番組で、お医者さんが実践しているインフルエンザ対策について特集していました。以下がその内容です。

http://www.news24.jp/articles/2018/02/08/07385171.html

他の番組などの情報も踏まえて、リバースでは以下の対策を徹底しています。

①授業をする講師は全員マスク着用(咳が出ている生徒にはマスク着用をお願いしています。)
②空気清浄加湿器の稼働(湿度が50%以下にならないように注意しています。)
⇒インフルエンザウィルスは湿度40%以下で活発に空気中を浮遊するそうです。

③塾に来た時、ウィルス除去のウェットティッシュで全員に手・指を拭いてもらっています。(特に、指先と爪を念入りに拭くように指導。爪にウィルスが付着している可能性が高いそうです。)⇒ 全員に手を洗わせることができないための措置です。

④全員にインフルエンザの予防接種を推奨(特に、受験生には強く勧めています。)
⇒ 仮にインフルエンザにかかっても軽く済むとのことです。

手で顔を触るクセのある生徒にはしつこいくらい触らないように注意しています。
⇒ 目をこするなどもってのほかです!!風邪・インフルエンザにかかる可能性がかなり高くなります!!

⑥授業中であっても、講師・生徒ともに飲み物を飲むことを推奨しています。
⇒ ジュースを除きます。記事にもある通り、カテキンを含むお茶をちびちび飲むのがインフルエンザウィルスの死滅には有効とのことです。

上記①~⑥の中で、家でも教室でも簡単にできる予防として私が心がけているのが、
1)手を清潔にする。(頻繁に洗う。)
2)手で顔を触らない。(触る場合は、ハンカチを使う。)
3)お茶をちびちび飲む。(うがいをする時点ですでにウィルスがのどに付着しているそうです。お茶で胃に流し込んで胃酸で死滅させる方が効果的とのことです。)

ぜひみなさんも参考になさってください。インフルエンザにかからないことを祈っております。

どうすれば自分の「能力」を高められるのか?

こんにちは。
個別教育リバースです。

子どもであればスポーツが上手になりたい、勉強ができるようになりたい。
大人であれば、資格試験に合格したい、仕事ができるようになりたい。
これらは、子ども・大人を問わずみんなが望むことではないでしょうか。しかし、大半の方々が経験済みだと思いますが、なかなか思い通りにはいきません。
3日坊主でやめてしまったり、中途半端にやってほとんど何も身につかないなどです。

これには3つの原因が考えられます。

①最初からあまりやる気が出ずにすぐにやめてしまう。
②最初から飛ばし過ぎて、自分の能力以上のことをやった結果、嫌になりやめてしまう。
無理のない範囲でしか努力しないため、成長が感じられずやめてしまう。

①は周りに流されたか、ブームにのったかなので真剣さが足りません。
②は、計画立てて物事を実行せず、自分の能力を過大評価した結果です。

③は、自分のことを適正に評価していることと続けている点で①②よりは地に足がついて
おり、
あともう一歩と言ったところです。

それでは、どうすればいいのでしょうか?
シンクタンク代表で多摩大学大学院名誉教授の田坂広志氏は以下のように述べています。

「・・・人間の能力というものは、「一00」の能力を持った人間が、「九0」の能力で仕事に取り組んでいると、その仕事を、たとえ「一000時間」行ったとしても、確実に力はおとろえていく。
 もし、「一00」の能力を持った人間が、自身の能力を高めていきたいと思うならば、「一一0」や「一二0」の能力が求められる仕事に集中して取り組む時間を、たとえ「毎週数時間」でよいから持たなければならない。逆に、その「毎週数時間」を持ち続けるならば、確実に能力は高まっていく。」
(田坂 広志『知性を磨く』光文社新書、2014年、P48)

田坂氏は、自分の能力より少し負荷のかかることをやり続ければ能力は高まると述べています。この考え方は、勉強にも適用できます。
基礎学力がない状態で、難しい応用問題を解こうとしても全く歯が立たず、嫌になってしまいます。逆に、すでに出来る簡単な問題ばかり解いていると、退屈になってきます。
どちらも学習を継続させることは困難です。今の自分の学力より少し上の問題をきちんと考え、解いていけば、学習能力は確実に高まります。
上記はどんなことにも応用できる考え方なので是非、スポーツ等でも実践してください。

ベルリンの壁崩壊~壁はどこにあったのか~

こんにちは。
個別教育リバースです。

1989年11月9日に「ベルリンの壁」が崩壊し、今年で30年を迎えます。以前にも書いたように来年の高校入試の社会、大学入試の世界史でこの出来事が出題される可能性は高いです。

それではみなさんは「ベルリンの壁」どこにあったのかご存じでしょうか。高校世界史の教科書には以下の記述があります。
「東ドイツでは、[中略]11月にはベルリンの壁が開放され、東西ドイツ間の自由な行き来が認められた。」(『詳説世界史B』、山川出版社、P398)
この記述通りに解釈すると、ベルリンの壁が開放(原因)⇒ 東西ドイツ間の自由な行き来が認められた。(結果)となります。従いまして、多くの方がベルリンの壁は東西ドイツの国境にあった、と思ってしまうのです。

しかし、中学校の歴史教科書には写真・地図つきでもう少し詳しい解説が載っています。
「④ベルリンに造られる壁 西ベルリンは、東ドイツに囲まれた西側陣営の飛び地でした。1961年、東ドイツは西ベルリンを取り囲むように壁を築き、市民が自由に行き来できないようにしました。」(『新しい社会 歴史』、東京書籍、P246)
ここでのポイントは、「飛び地」という表現です。(帝国書院の教科書も確認しましたが、「飛び地」という表現はありませんでした。)つまり、東ドイツの首都ベルリンの西側半分が西ドイツ領西ベルリンという「飛び地」だったのです。ベルリンの壁はこの西ベルリンを取り囲むように造られたものです。これは、北朝鮮の首都平壌(ピョンヤン)の西半分に韓国領西平壌(ピョンヤン)があるようなものです。
なぜこのようなことになったのでしょうか?米英仏ソの4ヶ国でドイツを分割統治しようとなった時に、ソ連管理地域にある旧首都ベルリンだけは別途4ヶ国で管理しましょう、ということになったからなのです。

この「飛び地」というキーワードからいろいろな学びが得られそうです。たとえば、スぺインにある英国領ジブラルタルやポーランドとリトアニアに挟まれたロシア領のカリーニングラード。また、日本では奈良県と三重県に囲まれてる和歌山県北山村。これらもすべて「飛び地」です。是非、各自で歴史的経緯などを調べてみてください。興味をもって調べることは、2021年以降の入試でもきっと役に立つはずです。

英語民間試験利用延期から考えたこと

こんにちは。
個別教育リバースです。

様々な問題を含んだ英語民間試験の利用延期が決定しました。準備をしてきた現高2生の方々には申し訳ないですが、ひとまずはよかったです。
石原賢一駿台教育研究所進学情報事業部長は、「見直しをして2024年度から始めるといっても、数十万人全員に受けられる体制が民間で整わなかった以上、もう民間試験を使うのは難しいだろう。」(朝日新聞11月3日(日)朝刊)と述べています。私も同意見です。

英語民間試験を煽った教育産業関係者は反省すべきです。少し考えれば無理筋の話であるのは誰の目にも明らかなのに、この流れにのろうとしていました。受験生本位ではなく自分たちの利益を考えていたと批判されても反論できないのではないでしょうか。
マスコミの姿勢も問題です。英語民間試験利用延期が決まった途端に批判的な報道をしているように見受けられるからです。一貫性が感じられず残念です。

さて、同時期に東京五輪マラソンの札幌開催の報道もありました。この報道に接して、英語民間試験利用延期と同じ問題を孕んでいると感じました。
両者の共通点は、現状のままで行うと問題が発生しそうなので、一方は実施延期を他方は開催地を変更したことです。

うがった見方をすると両者の問題点は以下のようになります。

① 英語民間試験:全受験生に必要のないスピーキング試験を無理に導入しようとしたために、民間試験を利用するという発想になった。⇒ 全ての受験生に本当にスピーキング試験を課す意味・意義があるのか、ほとんど議論されていない(2019年11月2日(土)朝日新聞社説で同趣旨の提言が見られた)
⇒ 英語民間試験導入の会議は議事録などが非公開であり、利害関係者が英語民間試験導入を熱望したと言われています。英語教育の専門家は入っていなかったそうです。

② 東京五輪マラソンの札幌開催:そもそもなぜ酷暑が続く日本の夏の8月に東京でオリンピックをすることになったのか?なぜ、涼しくなる10月開催ではいけないのか?前回の1964年東京五輪は10月開催でした。
⇒ 五輪のスポンサーであるアメリカ企業の意向から、米国内でスポーツイベントのない8月開催になったと言われています。
両者ともに「受験生ファースト」「アスリートファースト」になっておらず問題です。資本主義社会ですので利権がからむこともあるのは理解できますが、あまりにも当事者を無視したものとなっています。
報道の表面をなぞっているだけではわからないことを書いてみました。このような批判的思考力が2021年以降の入試では問われてくるのです。

スパイが実践している記憶術

こんにちは。
個別教育リバースです。

今日は、暗記・記憶術について述べます。定期テスト前に教科書を眺めただけで、勉強したという生徒がたまにいます。苦手教科を見ただけで覚えることは不可能です。声に出して読み、紙に書いて覚えることが必要です。

語彙力・国語力アップの方法として、音読を推奨している方は多いです。(例えば、藤野雄太『すごい学習メソッド』永岡書店、2017年、p102-p103など)
特に、教科書の音読は効果が高いです。これは英語・国語だけではなく、数学の教科書でもそうです。(もちろん、理科・社会も効果的)口と耳を使うので、黙読するよりも記憶の定着が図れます。
作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏も中学生向けに書かれた勉強指南本の中で、教科書の音読とディクテーションを勧めています。(佐藤優『学びのカタチ』NHK出版、2019年、p70-p73)佐藤氏の勧めるディクテーションは、自分の音声を録音し、それを聞きながらノートに書き取っていくというものです。これは手間がかかりそうですが、音読はすぐにでも始められます。是非、実践してください。

他にも佐藤氏は、視覚から重要情報を記憶する方法として、以下のように述べています。
「そんなとき(注:正確に暗記しないといけない時)には、耳で聞くだけではなくて、映像として記憶するようにしたんだ。つまり、相手がどんなスーツを着て、どんな色のネクタイをしめて、どんな身ぶり手ぶりをまじえて話したか、そのときテーブルの上に何がのっていたか・・・・・・そのぜんたいを「見ておぼえる」。そうすると、ふしぎに相手が話したことも、映像といっしょにしっかり記憶にのこった。
 「記憶したいことを視覚化する」。じつをいうと、これはインテリジェンスの訓練として、いろんな国で採用されている方法なんだ。」(同上、p74-p75)

これは、ロシアの諜報員養成学校(スパイスクール)で行われている記憶術を紹介した本をわかりやすく噛み砕いたものです。(K・Gブーキン『KGBスパイ式記憶術』、水王舎、2019年)
もちろんこの方法を習得するには訓練が必要です。教科書の音読後に、どこに何が書いてあったかをイメージし、思い出せなければまた目を閉じてイメージし続けます。これを繰り返せば、暗記・記憶の定着が格段に向上します。積極的に取り組んでいただきたいと思います。

グローバル時代の教養②(倫理・地学)

こんにちは。
個別教育リバースです。

前回、グローバル時代の教養として「哲学・宗教」を取り上げました。今日はその続きになります。
医学部入試では、物理・化学を選択する受験生が多く、医学部では必須の生物の基礎学力がない医学部生が多く入学してくるということがしばしば問題となります。
同様に、文系学部では日本史か世界史のどちらかしか勉強したことがない生徒が多く、知識の偏りが懸念されています。そのため、2020年からは高校の授業で「歴史総合」という科目が新設されます。(地理や政治経済の選択者も少数ながらいます。)

日本の学校教育で唯一「哲学・宗教」について学べる教科である倫理はセンター試験にしか存在しません。その内容は、社会学基礎・西洋哲学・中国思想・日本思想・宗教など多岐にわたります。グローバル時代にもっとも必要とされる知識であるにも関わらず、センター倫理の選択者しか学んでいません。これは非常にもったいないことです。
最近では大人向けの本として、小寺聡[編]『もういちど読む山川倫理』山川出版社、2011年・富増章成『考える力が身につく ディープな倫理』中経出版、2014年・斎藤哲也『試験に出る哲学』NHK出版、2018年、などが出版され、ビジネスパーソンを中心に売れているそうです。

倫理を学ぶことでグローバル化に対応した知識・教養を身に付けることができます。倫理を高校の必修科目にしてもいいのではないでしょうか。英語のスピーキング試験にかける労力をこちらに振り向けるだけで、日本の人々の国際理解は格段に向上するはずです。

もう一つ、日本に住む我々にとって欠かすことのできない知識・教養が地学です。こちらも倫理同様、センター地学の選択者しか学んでいません。非常にもったいないことです。
なぜなら、日本列島は地震・台風・土砂災害などの自然災害に見舞われることの多い場所だからです。今回の台風19号でも多くの方がお亡くなりになりました。もちろん、中学校の地理や理科の教科書に地震や災害についての言及はあります。しかし、内容的に不十分と言わざるをえません。もっと深く学ぶ必要があり、そのために高校地学は最適なのです。
こちらも大人の学び直しに最適の本を、京都大学教授の鎌田浩毅さんが何冊か書いておられます。『地学のツボ』ちくまプリマ―新書、2009年、『地学のススメ』講談社ブルーバックス、2017年、『やりなおし高校地学』ちくま新書、2019年、など。

倫理・地学の重要性を再認識し学ぶことで、国際交流や自然災害時にもっとも必要とされている知識・教養を学ぶことのできるのです。

入試問題を予想する。

こんにちは。
個別教育リバースです。

先日、源氏物語「若紫」の定家筆の写本が発見されたという報道がありました。(朝日新聞10月9日(水)朝刊)源氏物語には作者紫式部の自筆原稿は現存していないそうです。定家筆というのは平安時代末から鎌倉時代にかけての歌人藤原定家が書写したものということです。
「『若紫』は高校古文の教科書に採用され、研究と教育に大きな影響を与える画期的な発見」とのことです。(朝日新聞10月9日(水)朝刊、山本淳子・京都先端科学大学教授(平安朝文学)の談話)
なぜこの報道を取り上げたかというと、2021年に実施される2020年度の入試古文に源氏物語が取り上げられる可能性が高いと考えられるからです。源氏物語は難解なので、特に難関大学の文系入試で出題される可能性が大です。来年の入試問題はほぼ出来ているはずですので、時期的に再来年が有力です。また、古文入試問題の作問能力のある大学教員は古典文学専攻などに限られています。ですので、このニュースに触発された大学教員が入試問題作成の参考にする可能性は、他の科目よりもずっと高いと思います。

大学入試問題は、時代のトレンドを反映してます。実際、最近の英語入試ではAIについて取り上げた長文が増えてきた印象です。また、世界的ベストセラーのユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』(河出書房新社、2016年)に言及した英文も上智大学で出題されました。(竹岡広信『入門英文問題精講(4訂版)』旺文社、2019年、P36)

2019年は日本史・世界史共に重要な歴史的出来事から100年が経ちます。1919年パリ講和会議、ヴェルサイユ条約、五・四運動、三・一独立運動(100周年)。*1929年世界恐慌(90周年)、1939年第2次世界大戦勃発(80周年)、1949年中華人民共和国成立(70周年)、1979年イラン革命(40周年)、1989年マルタ会談・天安門事件(30周年)もあり。これらに関係した日本史・世界史の入試問題が出題される可能性が高いです。

理科関連ではリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏のニュースがありました。入試化学では再来年度リチウムイオン電池関連の入試問題が出題されるのではないでしょうか。

いろいろなものにアンテナを張っていた方が余裕をもって受験勉強に望めます。是非、日々のニュースや新聞にも気を配っていただければと思います。

文系と理系の融合

こんにちは。
個別教育リバースです。

今日は、今何かと話題になることの多い「文理融合」について取り上げます。
一般的に高校1年か2年次に文理選択を迫られ、文系を選んだ生徒は数学や理科を勉強しなくなり、理系を選んだ生徒は国語や社会を勉強しなくなる傾向にあります。ただし、国公立大学志望者は、すべての科目をある程度勉強しないといけません。
特に、数学と国語(現代文)はすべての受験生にとって必要不可欠な科目です。
例えば、国語(現代文)をきちんと学んでいないと大学のテキストの内容が理解できないなどの弊害が発生します。また将来、就職活動や就職した後にも文章を読んだり書いたりする能力は仕事で必須となります。
さらに、今あらゆる学問で数学との接合や応用が盛んになっています。かつては、文系の中で唯一数学に関係すると言われていたのが「経済学部」でした。マクロ経済学で微分積分の知識が必要になるからです。しかし最近では、社会学部の社会学や法学部の政治学の授業で統計学の知識が必要になります。また、文学部の心理学科では実験を行いますのでこちらでも統計学の知識が必要になります。それだけならまだしも、最近では文学部の文学科でも数学の知識が必要だそうです。それは計量文献学と呼ばれる学問分野で、文学作品の言い回しなどの分析に使われています。
計量文献学とは、文献本文の癖や特徴を数値化し、文献が書かれた時代や書き手の推定などを行うこと。また、それに関する学問分野。(デジタル大辞泉)
まさか、数学ともっとも遠いところにあると思っていた文学でも数学的なアプローチが広がっているとは驚きです。これ以外にも文理融合の学問として、経済物理学という学問分野があります。経済物理学とは、経済現象を物理学的な観点から研究する学問分野。株式や為替、大量の市場データを対象として、主に統計力学的手法を用い、それらの挙動を分析する。(デジタル大辞泉)

文系と理系の分け方、歴史などさらに詳しいことを知りたい方は、隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かれたのか』星海社新書、2018年 をご覧ください。
数学が苦手な生徒さんは、絶対に数学を捨てないでください。文系学部の大学生であっても、就職活動時にSPIという適性検査を受けないといけません。その非言語分野(数学分野)は、小中の算数・数学と高校数学ⅠAの一部範囲から出題されます。リバースでは大学3回生になって慌てることのないように、中学生からしっかりと数学の学習に取り組むように指導しています。